【マッチレビュー】J1第29節 北海道コンサドーレ札幌vsジュビロ磐田
スコア
0-4
得点者 –
順位:18位
勝ち点:23(5勝8分け15敗)
得失点差:-24(総得点:25、総失点:49)
出場メンバー(採点)
GK:三浦龍騎(5.5)
DF:大井健太郎(3.5)、伊藤槙人(4)、
山本義道(4)
ボランチ:山本康裕(3.5)、遠藤保仁(4.5)
WB:鈴木雄斗(4.5)、松本昌也(4)
OH:金子翔太(4)、上原力也(4)
CF:杉本健勇(4.5)
交代出場:
大津祐樹(5)、グラッサ(2)、吉長真優(4)、
ファビゴン(4)、ドゥドゥ(5)
フォーメーション
前節からのスタメン変更は3箇所。シャドーは大森とジャーメインではなく、金子翔太と上原力也が務める。前節は上原がスタメンを務めたボランチの位置には山本康裕が入る。
大森、ジャーメインはずっと試合に絡み続けてきた選手だったがこの日はベンチにも入っておらず。ケガなどでないとよいが。
前節のヒーロー、ファビゴンと吉長はベンチスタート。ゲーム体力の面を考えても彼らは相手が消耗してきた後半からの投入の方が効果が出そうなので、これで良いと思う。
今日も早々に失点
立ち上がりは両チーム最前線に長いボールを蹴り込みセカンドボール回収からの展開を狙う。
ガブリエル・シャビエルのキープ力が光り、札幌が磐田ゴールに迫る回数が多くなる。
9分に大井が守備時にペナルティエリア付近でファウルを冒してしまい、フリーキックを与える。これを福森が完璧なコースに飛ばして先制点を奪う。
福森のフリーキックはさすがの精度だったので、振り返るとしたらファウルの場面。
札幌のロングボールが金子拓郎に胸トラップされたところを慌てて大井がチェックに行ったところがファウルになった。
大井と松本の間に金子拓郎が立っていたが、大井のマークが離れてしまっていたのがポイント。ここでしっかり寄せれていれば金子もコントロールはうまくできなかっただろう。
札幌は押し上げた状況では1トップの興梠以外に2シャドーや両WBのうち複数人が最終ラインやその裏にチャレンジするので、磐田DFとWBはマーキングの集中を切らさないようにしたい。
今日の試合もビハインドからのスタートになってしまったが、ここは前節、上位の柏レイソル戦で2点ビハインドから追いついた自信を思い出し、残り時間で立て直したい。
札幌のプレスに圧倒される
ただこの時間以降も磐田は札幌の激しいチェイシングに苦しんでなかなかいい形でボールを前に運べない。
20分に2失点目。
札幌のCB田中がWBのような位置までボールを持ち上がる。札幌の右WBルーカス・フェルナンデスが最終ライン付近まで上がってきたので松本がついていって下がったあとのスペースを使われた。
田中は斜めの縦パスを興梠に入れる。興梠はワンタッチでゴールエリアのすぐ外のスペースにパス。ここに走り込んだのはシャドーの金子拓郎。大井は中央の興梠に入ったボールに目線を向けていた時に金子拓に背後からぐるりと外側を回り込むように走られて、マークを外された。また、ルーカスと金子拓が中外に入れ替わるような動きになったので、松本の迷いも生まれて金子拓にはついていけず。
金子拓は、ファー側からゴール前に走り込んできたシャビエルにラストパスして、シャビエルがダイレクトでゴール。三浦はほぼノーチャンスに近かった。
数的有利を無効化される
29分、三浦も含めてゴール前付近でパス回しをしながら前へのビルドアップを狙うが前の選手へのパスコースがないのかなかなか前にパスを出せず、結局は伊藤のところで寄せられてコーナーキックに取られてしまう。
GKも使えば数的有利を作り出せるはずだが、それでも相手のプレッシングにはまってしまうのは札幌のプレスがハイレベルなのもあるが、磐田の前の選手がサポートできてないということ。
29分のシーン、DAZNの中継だと、磐田のボランチから前が画面から切れてて見えなかったが多分こんな感じだったんだろう。
この場面はロングボールで前に大きく蹴って、セカンド回収を狙おうと、遠藤と山本康もポジションを上げてなるべく後方の選手にプレッシャーがかかりにくいようにしたのだと思う。
三浦もパス回しに参加すれば数的有利になり、フリーでロングボールを蹴れる選手を作れるはずだったが、この興梠のチェイシングがそれを無効化した。
上の図の通り、自分より後ろの磐田選手は味方にマークを任せて、自分は伊藤へのパスコースを切りながらボール保持している三浦にアプローチする。
これによって1人で伊藤と三浦のチェックの役割を果たして、磐田の数的有利を無効化している。
三浦は前方も横の大井、伊藤も含めパスコースがなく孤立させられてしまう。
三浦はアバウトなロングボールを蹴るのを避けて、サポートに下りてきた金子にパス。金子翔太には駒井がそのまま着いてきて前は向かせない。
金子翔太は伊藤に落として、ロングボールを蹴らせようとしたのだろうが、金子が下りてきた時点でシャビエルが伊藤へのチェックを開始。
伊藤に渡った頃にはシャビエルが寄せ切っていて伊藤は何もできなくなってしまった。
シャビエルの判断も素晴らしかったが、磐田の選手たちは自分たちの狙い通りにいかない場面では金子翔太のように状況を見て、ポジションを変えて次の打開策を探らねばならない。
頭の切り替えが早くできる選手が何人いるかで札幌のプレスを回避できるかどうかが変わる。
結局、このまま伊藤は追い込まれて苦しくなり、コーナーキックを与えてしまう。
このコーナーで3点目を奪われたかと思われたが、VARの介入でノーゴールになる。シュートを放った田中駿汰のハンドを取られたが、手が当たっていたとしてもかすった程度のように見え、ゴールが認められてもおかしくなかった。
流れを変える1プレイを
調子の良くないチームではやはり、何人かの選手が気持ちが消極的になってしまい、もらえるポジションに動けていないことで、相手もマークやスペースを消しやすくなり、結果としてボールを受けれる選手がどんどん減っていく。
そうなるとなんとか受けれる選手を探してパスをつけてもその次にパスを出すコースがなく、追い込まれてしまい、ボールロスト→また敵の攻撃を受ける。攻撃を受けるとまた気持ちが消極的になり、相手は追い込みやすくなるという負のスパイラルに陥る。
ここは24節の鳥栖戦で1つのいいプレイで鳥栖が流れを引き寄せたように、頭に汗をかかせて打開を図りたい。
鳥栖戦は立ち上がりは磐田の守備がハマって鳥栖が苦しむ時間帯が続いていたが、12分に鳥栖が1発裏抜けを決めてGKと1対1になり、あわや得点というシーンが出たことで、それ以降磐田の守備が下がりめになり、守備がハマらなくなって、鳥栖がボールをうまく回せるようになった。
そういう意味では44分に最終的に杉本のシュートを菅野が防いだシーンは流れを変えれる可能性のあるよいプレイ。こういったプレイを増やしていきたい。
ここでは札幌のマーキングミスが出て中央でフリーになった遠藤にパスが繋がる。遠藤にチェックに出てきた選手は、遠藤がワンタッチで前の杉本に繋いだことで置き去りになり、杉本はサポートに上がってきた右サイド鈴木に展開して攻め込んだ。
後半、早々に切り札投入
後半頭から両チーム選手交代。
札幌が興梠からキム・ゴンヒへの交代。磐田は山本義と山本康を下げて、リカルド・グラッサと大津祐樹が入る。
磐田は上原が山本康の位置に下がり、大津がシャドーに入る。また、最終ラインはグラッサが左に入り、大井が右に入る。
60分、磐田は大井と杉本を下げて、ファビゴンと吉長真優が入る。右のCBに鈴木が入り、吉長が右WBに、ファビゴンはそのまま杉本のいた1トップに入る。
決定的に痛い退場
64分、グラッサが1発レッドカードで退場になる。ルーカスに足裏を見せてスライディングしてしまったが、そこまでピンチな場面でもなかったので非常にもったないプレイ。
磐田は守備時は5-3-1で守るようになる。最終ライン5人でスペースを消そうとするが、1列前でプレスがかかりきれないと、フリーの札幌選手から最終ライン付近の際どいスペースにパスを入れられて攻撃を受ける。
69分には右サイドを破られて、ゴール前に折り返され、大外のルーカスのシュート。シュートはポストを叩き、こぼれ球のシュートは三浦がセーブ。
三浦は2失点の場面意外、何度もピンチのシーンを防いでおり、レベルの高いセービングを続けている。
75分にファビゴンが蹴り合いで警告を受けて、次節出場停止。次節はグラッサに加えてファビゴンも起用できない。
79分、遠藤を下げてドゥドゥを投入。
人数が少ないため、運動量を補強するための交代だろう。ただ、奪った後もどうしても攻撃に人数をかけれず、効果的な攻撃はできないまま、ボールを回収されてしまう。
ダメージの残る敗戦
89分、3点目を奪われて万事休す。左サイドの高い位置でボールをキープされ、ゴールエリア脇に侵入され、折り返しをDFが触ったオウンゴールのような形になってしまう。
95分に4失点目。数的不利をはね返せず、得失点でもさらに厳しい状況になってしまった。
前節、柏に追いついた事で希望を見せたが、一転して今節はダメージの残る敗戦となった。
ただ、山田大記も練習試合に復帰してきたり、明るい話題がないわけでないし、この4失点の悔しさをバネに、いい意味で開き直って次の試合に向かってほしい。
個人的には勝ち負けよりもいかに苦しい時間帯に流れを変えられる1プレイを出せるかに意識を向けて欲しい。
勝たなければと考えるとプレッシャーになって、いいプレイが出せなくなりがちなので、まずは流れを変えれそうな1プレイを1試合の中で何度出せるかにフォーカスした方が良いと思う。