【マッチレビュー】J1第28節 ジュビロ磐田vs柏レイソル 

サッカー

スコア

2-2
得点者  吉長真優、ファビゴン

順位:18位
勝ち点:23(5勝8分け14敗)
得失点差:-20(総得点:25、総失点:45)

出場メンバー(採点)

GK:三浦龍騎(5.5)
DF:大井健太郎(5)、伊藤槙人(5.5)、
       山本義道(5)
ボランチ:上原力也(6)、遠藤保仁(5.5)
WB:鈴木雄斗(5.5)、松本昌也(6)
OH:大森晃太郎(5)、ジャーメイン良(5)
CF:杉本健勇(5.5)

交代出場:
大津祐樹(6)、金子翔太(6.5)、吉長真優(6.5)、
ファビゴン(6.5)

フォーメーション

磐田は横浜FMのACLの日程都合で前節の試合日程が変更になり、先週は試合がなかった。そのため、2週間ぶりの公式戦となった。

充分な準備時間を得られたはずだが、一方で試合3日前にトップチームの選手3名に新型コロナ陽性者が出たことが発表された。

陽性者の名前は公表されていないが、スタメン選考に影響を与えたかもしれない。ここ数試合の流れを見るとグラッサ、小川大貴あたりが感染したかもしれない。

守り方に変化

序盤の磐田の攻撃はロングボールを杉本に当てて、落としたところから組み立てを開始する。守備面ではいつもの5-4-1や5-3-2で引いて守るのではなく、3-4-3で引きすぎない守備陣形を取るようになった。

前線3人が柏の最終ラインにプレッシャーをかけるので、柏DF陣は落ち着いて前にいいボールを蹴りにくい。この守り方は3ラインの距離感が重要で、ライン間を使われてしまわないようにうまく連動してスペースを作らないようにしなければならない。

序盤は何度かこのライン間のスペースが出来てしまってそこを使って柏の攻撃を受ける場面があったが、徐々にこの守備の仕方に慣れてきて、守備が安定してくる。

この試合も先取点を奪われる

しかし、やはり最下位に沈む不調のチーム。先に先取点を奪われてしまう。

サヴィオが高めの位置を取ったため、それをマークしようと下がった松本があけたスペースで大南がパスを受ける。そのまま大南はドリブルで持ち上がってくるが、この時点で大森が置き去りにされてしまったため、松本が慌てて大南のチェックに前に出る。サヴィオは出ていった松本の後ろ、3バックの脇のスペースに出て、大南から縦パスを受ける。大井がサヴィオにアプローチを寄せるが今度は大井が開けたスペースに大南がトップスピードで走り込んできてサヴィオからリターンパスを受ける。大南はペナルティエリアをえぐって、マイナスのグラウンダーパスをドウグラスへ。ドウグラスはラボーナのように左足を当てて、ゴールネットを揺らす。

柏の選手はゴール前にはドウグラスと武藤しかいなかったのに対して、磐田DFは5人はいたがピンポイントでボールを合わせられてしまった。

柏は2トップ下にサヴィオとドッジが並ぶがこのトップ下とWBのマークを誰がつくかが守備の重要ポイント。

ノーマルのポジションなら上原・遠藤のボランチがサヴィオ・ドッジをマークして、WBは松本・鈴木がマークするはずだが、サヴィオらがポジションを崩して、磐田の3バックの脇やWBの裏などに出てきた時に誰がつくかが難しい。

ボランチがそのままついて行くとバイタルのスペースが空いて他の選手に使われてしまう可能性がある。失点シーンのようにWBがマークしに行くと柏のWBを自由にさせてしまう。

磐田としてはコンパクトな陣形を保って、サヴィオたちの使うスペースを消していきたい。

試合展開は落ち着くも痛い2失点目

時間が経ってくると磐田の攻撃はショートパス主体に切り替わってくる。柏レイソルの前線のプレスも決して弱くないが磐田はパスワークで掻い潜っていく。しかし、アタッキングサードでWBが余裕を持ってクロスを蹴るシーンがあまり作れず、苦しい形でのシュートシーンが何度かあったがゴールは奪えず。

このまま0-1で折り返すかと思われた46分に磐田へ追加点を奪われる。

柏の最終ライン・古賀が前線にロングボール。武藤と大南が走り込み、磐田3バックと松本が下がって対処しようとする。しかし、このボールに触ったのは武藤。磐田の最終ラインが下がったことで空いたスペースに武藤が頭で落とすとサヴィオが拾って中央にボールを運ぶ。しかし、ここは伊藤がサヴィオに寄せて、ボールを奪い山本へパス。山本は伊藤とワンツーを決めようとするが伊藤が反応しておらず、ボールはドッジに渡る。

ドッジは右サイドに開いて待っていた大南へパス。松本は最初のロングボールへの対処で下がっており、最終ラインに吸収されていたため、大南は完全にフリーでクロスを上げる。

ファー気味に放り込まれたクロスに武藤が流れながら頭を合わせる。折り返すようなコースにヘディングを決める。大南のクロスも武藤のヘッドも完璧過ぎて、三浦は正直ノーチャンスだった。

このスペースは鈴木雄がケアしたいところだったが、ドウグラスのマークで少しポジションが高かったため、このスペースを消せていなかった。ただスペースといっても決して大きく開けていたわけでもないので、これは大南と武藤を褒めるしかない。

磐田はここ数試合と流れは変わらず、比較的いい時間帯がありながらも攻撃で相手に脅威を与えられず、相手の決定力に屈して先行されてしまった。

最初のカードは大津祐樹

後半は頭から大森を下げて、大津祐樹を投入。

49分にチャンス。低い位置でのパス交換から右サイドに開いた上原が前線にロングボール。大津が落としてクロスするような形で杉本に繋ぐと、左サイド上がってきた松本へ。松本はペナルティエリアやや手前でフリーになっていた大津へパスすると大津のシュートはミートせずにGKに収められる。この試合最も崩しかけたシーン。

大森は下がってボールを受けることが多く、ドリブルで違いを作れるタイプだが、今日は柏の帰陣が早く、大森のドリブルのスペースがなく特徴が出せなかった。一方、大津は裏へも走れし、杉本同様ロングボールの起点にもなれるタイプなので、杉本に加えて前線のターゲットが増える。

59分にもいい形。GKからのロングボールを杉本が落とす。遠藤がセカンドボールに反応し、ちょうどトップ下のような位置にいた大津に遠藤が頭で繋ぐ。は左サイドの松本へ展開。松本は切り替えして中に向きを変えると杉本へグランダーパス。杉本に入ると見るやDF裏に走り込んだ大津にダイレクトで杉本が繋いで大津がシュート。ここは佐々木に防がれるが柏DFもかなりのスピードで帰陣するなか、それを上回る攻撃が出せたシーン。

63分、磐田の選手交代。ジャーメインと大井がアウトし、吉長真優と金子翔太が入る。右のDFに鈴木雄斗が下がって、吉長が右WBに。金子はジャーメインの位置に入る。

65分、柏はドウグラスに代えて細谷真大が入る。
68分に磐田は杉本に代えてファビゴンが入る。

吉長のファインゴールで反撃開始

72分に反撃の1ゴールを奪う。柏のコーナーキックを遠藤がクリア。その後、スクランブル気味に両チームボールの奪い合いとなるがなんとか磐田が拾って右サイドの鈴木雄斗に振る。鈴木は前線へボールを送ると金子が肩で落として、吉長がダイレクトのハーフボレーをゴール左上に突き刺す。

交代出場の吉長、金子が勢力的にゴールに向かってプレーしたのが功を奏した。特に金子は交代で入ってからボールへの寄せが非常に速く、圧力も強く、気持ちが見えるプレイ。

また、吉長はうれしいリーグ初ゴール。それもミドルショットを左上に突き刺すファインゴール。チームに勇気を与える素晴らしいゴールだった。

ファビゴンの起死回生の同点ゴール

73分、武藤を下げて小屋松知哉が入る。

76分同点ゴールが生まれる。磐田の攻撃が防がれ小屋松と細谷のカウンターを受けるがこれを跳ね返して逆カウンター。右サイドで吉長とパス交換して一瞬フリーになった上原が前線のファビゴンへパスを柏DFの裏を取ったファビゴンがワンタッチで前に持ち出し、GKも交わしてゴールに流し込む。

ファビゴンは古賀と染谷の間、染谷の背中を取る位置で待っていた。染谷はボールとファビゴンを同時に視野に入れられないので一瞬反応が遅れる。古賀はオフサイドトラップをかけようとしたがうまくいかず。さらにファビゴンが前に持ち出すトラップで自分の持ち味のスピードを活かせたことで、染谷と古賀を置き去りにできた。さらにファビゴンは冷静にGKも交わしたのも素晴らしい。これで今シーズンチームトップの6得点目。

終盤は磐田が柏を追いつめる

この時間帯になってくると選手たちの体力状況もバラツキがあり、スタメンから出て疲労が出始めた選手と交代で入ってエネルギッシュな選手とが混ざって、連動したプレーよりも局地戦が増えてくる。

磐田は前線の3人と吉長が交代組であることもあるが、追いつく気持ちを前面に出して、ここに鈴木雄斗や遠藤、上原も絡んで行ったことでチャンスシーンが増えていく。

一方で柏は攻撃時に2トップの細谷、小谷松のサポートが薄く単発的な攻撃になってしまう。前半の複数人が連動するハイレベルな攻撃や、ドッジやサヴィオまでも含め切り替え早く帰陣するハードな守備を披露していたが、さすがに終盤は体力が落ちてきて、攻撃時の切り替えが遅れてきた。

2失点したものの、そこからあきらめずに浦和戦のように大量失点しなかったのが、同点の布石となった。

終盤、吉長の裏抜けからのファビゴンのシュートやコーナーキックからの鈴木雄斗のオーバーヘッド気味のシュート、大津のパスをダイレクトでシュートした遠藤など攻撃シーンは多数作れたが勝ち越しゴールはならず試合終了。

苦しい中にも微かな希望

今日の試合、勝てはしなかったので依然、残留争いでは厳しい状況だが、上位の柏相手に2点ビハインドから追いついたのはこの先に希望の光を灯した。

選手たちもゴールを取れるという感触を持てたし、あきらめない気持ちが繋がるはず。交代で入った選手が活躍したのも非常によい。スタメン以外の選手も勢いが出てチーム全体の士気があがる。

残りの試合、上位勢は横浜FM、C大阪、鹿島とあるのでそういった試合でも勝ち点をあきらめない試合をしていきたい。

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