2025 J2 第3節 V・ファーレン長崎vsジュビロ磐田/後方からのビルドアップが機能せず今季初黒星
スタメン
磐田のスタメンは前節から変更なし。
対する長崎は磐田と同じ4-2-3-1を使う。長崎には山口蛍やエドゥアルドなどJ1の実績十分な選手や昨年のチームメイトだった高畑圭太もいる。長崎は開幕前に昇格候補によく挙がっていたチームでもあり、ここで勝って相手の勢いを削ぎたい。
前半は両チームチャンスは少なく終わる
今日も磐田は後ろからショートパス主体でビルドアップ。長崎のDF裏にスキができればロングパスを試みる。
長崎は守備時にはマテウス・ジェズスと名倉が横に並んで磐田のCBをチェック。ボランチもかなり押し上げて磐田ボランチをチェックし、両WGが磐田のSBをマークする。人の立ち位置としてはミラーにして守るが、そこまで前線からハイプレスをかけて来るわけではなく、最終ラインから前にパスが出たあたりからボールを奪いに行く。そのため、磐田は最終ラインでは余裕を持ってパスを繋げるが、そこから前には進めにくい。むしろ長めのボールを入れる方がチャンスになっていた。
アタッキングサードに押し込んだ時に磐田の両SBは中に絞り気味でサポートに入るが、今日の長崎には両サイドに縦に早い選手がいるので、奪われ方が悪いとSBの空けたスペースを使われるリスクがあるので注意したい。
また長崎はクルークスや倍井がアタッキングサードでボールを持つと確実に2人寄せて来る。そこで奪えれば左の笠柳、右の増山に縦のスペースを使わせて一気に攻め込むのが狙いか。
前半は両チーム大きなチャンスは少なく終了。
後半は磐田のビルドアップを長崎が捉え始める
後半、両チーム選手交代なしで再開。
49分、相手陣内で中村駿が囲まれてボールを奪われると一気に速攻をかけてゴール前まで運ばれると最後はシュート。
51分にはDFラインのクリアが磐田最終ライン裏に抜けてそのままマテウス・ジェズスがキーパーと1対1になる。ここは後ろからグラッサが寄せつつ川島がジェズスのシュートを正面で弾く。
共に縦に早い攻撃で危険なシーンを作られた。長崎の速攻は怖いので、攻撃時の奪われ方には注意したい。
54分に川口が負傷して植村洋人が入る。開幕からクルークスといい連携を見せていた川口。長期離脱にならないとよいが。逆に植村は昨年のレギュラーだったが今季はスタメンをつかめていない。このチャンスで結果を出したいところ。
59分にもグラッサのバックパスが弱く、増山に奪われそのまま抜けたらとても危険な状況で、江崎がファウルで止めてイエローカードを受ける。
今季初のビハインド
62分、今季初のリードを許す。笠柳がバイタルエリア付近で前を向いて低い弾道のシュートを放つと川島も反応するが掻き出しきれずネットを揺らされる。笠柳のシュートを打たれるまで何度かクリアのチャンスがあったが大きく外に出せずに拾われ続けて、最後に決め切られてしまった。
ここに至るまで何度も奪われ方が悪く長崎の速攻を許していたので、その流れを切れなかったのが痛かった。
しかし、長いシーズン、リードされることも必ずある。それを跳ね返せるチーム力が必要になるので、昇格に向けてのいい試金石となる。
長崎は得点の直後に選手交代。増山、笠柳が下がり、マルコス・ギレルメと松澤海人が入る。
71分に磐田は倍井と佐藤が下がり、渡邉りょうと川崎一騎が入る。74分に長崎は高畑にかえて米田隼也が入る。
後半は磐田もクルークスにボールが入り始めて、クロスがゴール前に供給されるようになっている。
磐田にとって危険なシーンが続く
80分にもマルコス・ギレルメによる2失点目かと思われたが、オフサイドで取り消される。ここも後ろからのビルドアップで追い込まれ、中村駿からボールを奪われたのが起点。
後半は長崎の守備で磐田のボール回しにミスを誘発させられ、そこからチャンスを作られる。
DAZNの中継だと磐田の最終ラインがボールを持っている時に、前線の選手たちの状況が見えないが、前半何度かあった裏抜けを狙うロングボールを蹴っていないところを見ると、長崎は最終ラインを深くして、ロングボールを消しつつ、前線の選手がコンパクトに寄せて磐田のビルドアップに圧力をかけて、中村駿や上原のあたりでボールを奪ってショートカウンターを狙っているのではないかと。
澤田崇とエジカル・ジュニオが入る。下がるのはマテウス・ジェズスと
この後も後方からのビルドアップはうまくいかない場面が多く、なんとか苦しい中でクルークスに繋いでワンチャンスを狙うという時間が続く。
ビハインドをはね返せずこのまま0-1で敗戦。
後方からのビルドアップに課題
磐田の開幕連勝は2でストップ。昇格のライバルとなるであろう長崎の勢いを削ぐ意味でも勝ちたい試合だったが、悔しい敗戦。
内容的には後ろからのビルドアップがうまくいかない状況での打開策が課題として見えた試合だった。
例えばボランチの一枚が下がって最終ラインを3バック化して、相手の前線2枚に対しては3人でパス交換して回避。もう一人のボランチは中央で相手のボランチ2枚を引き付けて、両SBはやや中に絞ってパスを受ける。ここで相手のWGがSBのマークに中央に寄せれば、最終ラインの左右の選手からクルークスや倍井への縦パスのコースが開くはず。
ただ、これも敵味方が密集してスペースがない状況だと技術的には難しいパスワークになるのでミスからのショートカウンターのリスクは残る。流れの中での立ち位置の変更もチームの連携を深めていかないと簡単ではない。ペイショットもいるので厳しい場合はロングボールで逃げるのも一つか。
いずれにせよ、開幕戦の水戸戦でもハイプレスには苦しんでいたので、課題は克服しきれていない。後方からのビルドアップは今シーズンの戦術上のカギになるので、次節以降の解決策に注目。