【マッチレビュー】2023 J2第20節 ベガルタ仙台vsジュビロ磐田

サッカー

スコア

3-2
得点者:鈴木雄斗、上原力也、後藤啓介

順位

6位
勝ち点:33(9勝6分5敗)
得失点差:10(総得点:34、総失点:24)

出場メンバー(採点)

GK:三浦龍騎(5.5)
DF:鈴木雄斗(6)、グラッサ(6)、
   伊藤槙人(5.5)、松原后(6)
ボランチ:藤原健介(6)、上原力也(6)
OH:ドゥドゥ(5.5)、松本昌也(5.5)、
    山田大記(5.5)
CF:ジャーメイン良(6)

交代出場:
金子翔太(6)、後藤啓介(6)、山本康裕(5.5)、小川大貴(-)、

フォーメーション


前節のスタメンからの変更点は2箇所。トップ下に金子翔太に代わって山田大記が復帰。ここ数試合ケガの影響か出場がなかったが、コンディションに問題なければ山田が現在のトップ下のファーストチョイスだろう。

また、鈴木海音のU-22日本代表選出による不在は伊藤槙人が務める。伊藤は昨シーズンなどは不動のレギュラーCBだったが、ケガもあって戦列を離れている間に鈴木海音が著しい成長を見せたので、伊藤としてもすんなりレギュラーを奪い返せる状況ではない。内容結果共に求められる。

いきなりの2得点

試合はいきなり磐田の先制点で始まる。仙台ゴールから少し距離のある位置で得たFKを藤原が仙台GK林の目の前でバウンドする、GKとしては処理しにくいボールを蹴り込む。

林は身体に当てて弾くがそこを鈴木雄斗押し込み幸先良い先制点。前節、久々のリーグ戦出場から得点も決め、好調を維持する藤原がまたも点に絡んだ。

さらに8分に上原力也の追加点。左サイドのアタッキングサードに入ってすぐの辺りでスローインを受けた上原力也がゴール前にクロスを送る。

このボールは誰も触らなくてもそのままゴールに入るコースで飛び、ジャメと山田が関与したことで林も前に出れず、結局は誰も触らずそのままネットを揺らした。

14分に仙台が1点を返す。
こちらも左サイドのアタッキングサードに入ってすぐのあたりで中島と鈴木雄斗が1対1になる。松本も鈴木雄が突破された場合のカバーができる位置にいたが、中島は鈴木を抜き切らずにゴール前に右足でクロスを送ると郷家がわずかに触ってゴールに吸い込まれる。

上原のゴールと同じく誰も触らなくてもゴールに吸い込まれるような軌道で送られたボールに三浦も処理が難しかった。

失点の伏線

この失点の伏線はその前の上原の前プレスが空転した場面。

仙台最終ラインの菅田がボランチの鎌田にボールをつけるところに上原が奪いに行くが、鎌田がワンタッチで菅田に戻し、上原のプレスをかわされる。菅田は上原のあけたスペースに走り込む郷家に縦パスを入れ、そこから左サイドの中島まで展開されている。

藤原も上原のスペースを消すポジションを取れていなかったため、バイタルで前向きにボールを持たれるというかなり警戒して作りたくないシーンを作ってしまった。

行くべきところと行くべきでないところのチョイスでミスが出た場面だが、そのわずかなミスを見逃さずに突いた郷家と菅田が素晴らしかったとも言える。

上原のミスにも見えるが、上原がなぜそこにチェックに行ったかというと、ジャメの鎌田へのチェックが緩く、鎌田にパスが入った際にターンして前を向かれると危険なパスを入れられる可能性があったので、ここはジャメも含めたチーム守備としてのミスと考えるべき。

これ以降はしばらく膠着状態に入る。構図としては仙台が主にボールを握る時間が多くなり、磐田は守備の時間が増えていく。

後半頭から松本昌也を下げて、金子翔太が入り、金子はそのまま右サイドに入る。

後半も引き続き、仙台がボールを握る時間が続く。

ボール支配は仙台

仙台はビルドアップ時にSBがそこまで高い位置を取らずに、ボランチと共に最終ラインのパスワークを助ける。そのため磐田の前線の2人だけではプレスをかけきれず、ボールを前に運ばれてしまう。

仙台が後方のパスワークに人数を割けるのは、右サイドの郷家やサイドに流れるFWの中島など、単独でも勝負をかけられるサイドアタッカーがいるため。

彼らを1対1で勝負させる意味でも、基本はSBはすぐに高い位置を取らずに相手の守備を分散させている。

仙台にボールを支配されるものの、決して磐田もやられ放題という形ではなく、危険なシーンはそこまで作らせず、最終ラインとその前のバイタル付近で守備ブロックを崩さずに守り続ける。

62分に山田を下げて、後藤啓介がIN。ジャメがトップ下に下がり、後藤が1トップへ。
同時に仙台も中山と中島を下げて、ホ・ヨンジュンと相良竜之介が入る。相良は左サイドへ、氣田とヨンジュンで2トップを組む。

仙台のボール回しの中でのエベルトン、鎌田の関わり方もとてもレベルが高く、パス&ゴーを繰り返し、相手のプレスをかわしてボールを運ぶ。仙台の強さを支えているのはこの中盤だろう。

74分に仙台は小出と氣田が下がり、フォギーニョと遠藤康がIN。
仙台は3バックにして、ヨンジュンの1トップに遠藤と郷家の2シャドーに変更。右サイドはフォギーニョが務める。

しかし、75分に仙台のダブルボランチの強みが裏目に出る。エベルトンと鎌田が磐田の右サイドよりで高めの位置に上がってきて、パス交換に絡んでいたところで、ボールロスト。

さすがの後藤啓介

磐田はそのまま仙台ダブルボランチを置き去りにして前線の後藤に繋ぐ、ドリブルで前に運ぶ後藤の周囲を複数の磐田の選手が追い越してサポート。ジャメと金子はゴール前へ、鈴木雄は右サイドを上がっていく。

これにより、仙台のDFは後藤に寄せることが出きず、ズルズルと最終ラインが下がる。また、ここまで磐田の粘りもあり、仙台も攻め疲れがあったか、サポートで上がっていく磐田の選手より、仙台の中盤の選手の戻りが明らかに遅かった。

後藤は鈴木雄に預けたボールを折り返しをペナルティエリア内でフリーで受けると右足を振り抜く。

シュートは菅田のブロックにあうが、リフレクションがGK林の頭を越す軌道を描いてゴールに吸い込まれる。

こういったシーンでゴールが決まってしまうのだから、後藤はやはり持ってるなと思ってしまう。

76分に磐田は上原から山本康裕への選手交代。
中盤の守備を締め直すためフレッシュなボランチを投入する。

総攻撃体制の仙台

一方、仙台は84分にエベルトンを下げて梁勇基が入る。前線に効果的なパスを供給する選手を投入。

このまま磐田が2点差の余裕を持って試合を終わらせるかと思ったが89分に仙台に1点差に詰め寄られる。

ヨンジュン、遠藤康、フォギーニョが上がる前線にボールを放り込まれ、ルーズボールを巡って肉弾戦になる。

ドゥドゥや磐田最終ラインの選手も身体を張るが混戦の中で遠藤康が巧みな身体の使い方でシュートを放ちゴールが決まる。

90分に藤原を下げて、小川大貴を投入。ドゥドゥと山本のダブルボランチに左サイドに松原を上げて左SBに小川を入れるいつものクロージングフォーメーションに入る。

93分にも遠藤康がうまくファウルを受けてゴール正面でFK。並ぶのは梁勇基と遠藤康。幸い遠藤のキックは枠外に外れたが、全盛期の彼らのFKを知ってる身からすると恐ろしい場面。

この後、金子やジャメが身体を張って前線でタメを作り、時間を進めてなんとか守り切って勝利する。

ライバル相手に貴重な勝ち点3

正直内容的にはどちらが勝ってもおかしくない試合だったと思う。

ボールは支配されたものの、最終ラインの守備で相手に自由にさせなかったため五分五分のぶつかり合いになっていた。

これで磐田は5位浮上。

ここからしばらく次のリーグ戦までは時間が空くので、ケガやコンディションの悪い選手の回復をして、夏のリーグ戦に備えたい。

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