【マッチレビュー】2023 J2第5節 ジュビロ磐田vs清水エスパルス

サッカー

スコア

2-2
得点者:後藤啓介、松本昌也

順位

暫定14位
勝ち点:5(1勝2分け2敗)
得失点差:-1(総得点:7、総失点:8)

出場メンバー(採点)

GK:梶川裕嗣(6.5)
DF:鈴木雄斗(6)、鈴木海音(5.5)、
  リカルド・グラッサ(6)、松原后(5.5)
ボランチ:遠藤保仁(5.5)、針谷岳晃(5.5)
OH:ジャーメイン良(5)、金子翔太(5)、
   松本昌也(6)
CF:後藤啓介(6)

交代出場:
上原力也(5)、大津祐樹(5)、吉長真優(-)、藤川虎太郎(-)、鹿沼直樹(-)

フォーメーション

前節から変更は3点。杉本健勇に代えて後藤啓介、ドゥドゥの代えて松本昌也、中川創に代えて鈴木海音が入る。

中川は前節の退場による出場停止だが、杉本とドゥドゥはベンチにも入っておらず、ケガでなければよいが。

後藤の先制点で試合スタート

立ち上がり、いきなりゴール。
ジャーメインが後藤を走らせる縦パスを送るといい形で抜け出した後藤は左足一閃。前半1分で先制点を奪う。

前節はチャンスシーンをたくさん作ったものの、GKの好セーブに阻まれた磐田にとって、今日の試合は日本代表クラスの権田の牙城をいかに崩すかがポイントだったが、幸先の良い先制点。しかし、後藤はサプライズを起こす。

ただ、その後は清水がボールを持つ時間が続く。

磐田はいつも通り、4-4-2のブロックを敷いて守るが、前の2枚の後藤と金子は清水の2CBを見ながら、背後に清水の2ボランチへのパスコースを消す。

この時、清水の両SBが引いたポジショニングを取ると、マークが付けない。彼らにボールが入った時はジャーメインや松本昌也がタイミングを見て寄せるが、清水は両SBを周りの選手がうまくサポートしてサイドを侵入してくる。

清水の攻めは磐田の2列目の両サイドの前、1列目の2枚の脇のスペースを入れ代わり立ち替わりポジションを取る選手がいるのと、2列目と最終ラインの間くらいの高さで大きく外にポジション取る選手がいるのが特徴。

1列目の金子と後藤の脇でボールを受ける選手にジャーメインや松本が寄せる時に、パスコースの切り方を間違えると縦パスを通されてしまう。

寄せなければ2、3列目の間の大外で待っている選手に通されてサイドに侵入されてしまう。

上の図のパターンでディサロが前を向くと、西澤と山原への2つのパスコースがあり、ジャーメインの対応はかなり難しい。

西澤のマークを針谷に任せて、ジャメが山原に付こうとして、針谷が西澤に寄せ過ぎるとホナウドを経由してサンタナに縦パスが通されるリスクが出る。

磐田は試合を通じてこの1列目の脇のスペースへの対応に悩まされることになる。

磐田は守備に釘付けにされる

磐田は時折、奪ったボールで単発的な攻撃を繰り出すが、マイボールの時間が短く、全体の押し上げができないまま奪い返されてまた清水の時間に戻ってしまう。

中央は割らせずになんとか守り続ける磐田だが、清水としてはゴールに向かうトライを繰り返せているので、これが続くと厳しい。

27分に遠藤が右サイドのミドルサードの辺りで、ボールを縦に大きく蹴るような素振りで清水の守備を大きく下げさせて、最終ラインに戻す。こういった押し込まれた時間帯が続く時に自分たちの時間を作るベテランのプレイ。

しかし、やはり清水にボール奪われると押し込まれる時間が長くなってしまう。

決壊するジュビロゴール

41分についに決壊。ディサロが下りていって、磐田の右サイド側、金子の脇でボールを受けると外にいる選手にパスを送れるような体勢を取ると、ジャーメインが外のケアをしようとした一瞬の縦パスコースが空き、西澤に通される。西澤に寄せた鈴木海の裏のスペースにサンタナが抜けたところに繋がれて、サンタナの左足から同点ゴールが生まれる。

後半は両チーム交代なしで再開。

後半は磐田は前半見せなかった前からボールを奪いに行く姿勢を見せる。ただ、清水は最終ライン4枚が横幅を大きく使って、磐田の前進守備をかわす。

劣勢が続くなか、勝ち越しゴールを奪ったのは磐田。ジャーメインが右サイド抜け出して粘ってドリブルで抉ろうとしたところ、鈴木義に倒されたようになる。このはノーファウルだったが、清水の選手がPKを気にしたか、足が止まり、権田のパスに誰も反応せずに鈴木雄が右サイドで拾う。

鈴木雄は金子と松本が待つファーサイドにクロスを送ると、大外の松本が完璧な叩きつけるヘッドでゴールを奪う。

66分に磐田は針谷を下げて、上原力也が入る。清水は北川を下げて、中山が入る。

75分に後藤を下げて、大津祐樹がIN。清水は山原、ディサロ、西澤が下がり、吉田豊とオセフン、乾貴士が入る。この時間で出てくる清水の選手の顔ぶれがJ2のレベルじゃない。

逃げ切り失敗

攻め込まれる時間が続き、体力的に厳しくなってきたか、磐田は自陣内でのファウルも増えてきてしまう。

途中から入ってきた乾のセットプレーの質が高く、際どいボールが入ってくる中でギリギリでの守備が続く。

84分にホナウドに代えて、宮本航汰が入る。磐田は金子、ジャーメイン、遠藤が入って藤川虎太郎、吉長真優、鹿沼直樹が入る。

逃げ切りを図った磐田だが、87分にややアンラッキーな形で同点ゴールを奪われる。

清水の最終ラインから蹴り込まれたボールを頭に当てるが、外にかき出せないなかで磐田は選手同士が交錯してサンタナがフリーでシュート体勢を許してしまう。

さすが昨シーズンのJ1得点王、このシチュエーションで確実に決めてみせる。

この時間帯は清水もさすがに疲れてきていて、磐田がボールを奪った後の帰陣も遅くなってきていて、その代わりに磐田は大津や藤川、吉長などフレッシュな選手が前線にいることもあり、ある程度前に運べる時間が、守備陣の体力をなんとか支えていた。

ロスタイム5分も終えてドローで試合終了。

新たな宿題

内容的にはほぼほぼ清水にボールを支配され続けた90分だったため、負けてもおかしくない内容で負けなかったことが最大の収穫。

3節の山形戦の後半で出た、4-4-2の守備ブロックの揺さぶりの宿題が違う形でまた出た結果になった。

この試合では2、3列目の距離間がよくライン間で受けられる回数は山形戦より減ったため、その点の宿題はきちんとクリアできていたが、新たに1列目脇のスペースを使って揺さぶられることとなった。

解決策の一案は1列目脇を使う相手に対しては、1列目の2枚のうち片方(下の図の例だと後藤)が脇を使う選手(ディサロ)に対して、CB(鈴木義)へのパスコースを切りながら寄せる。金子はアンカー(ホナウド)へのパスコースを切るポジションを取る。

針谷、ジャメはそれぞれ西澤、山原のパスコースを切る事でディサロのパスの選択肢を消す。万が一のジャメと針谷の間を通されるパスは裏の鈴木雄が警戒する。

なんて図面上はアイディアは湧くけれど、これを時間も短く、広いピッチで複数人が頭に同じ絵を描いて動くのは簡単なことではない。

横内ジュビロのこの宿題への解答をまた楽しみにしたい。

この問題は試合を通じてクリアしきれずだったが、中央のスペースを密にしてなんとか守り続けた。結果、2失点はしたものの、こういった守り方で清水の質の高い攻撃に対してもある程度守れたのは一つの収穫。

また、少ないチャンス、特に相手のSB裏のスペースを使った攻撃で2得点を生んだのも収穫。

劣勢の中でも勝ち点を奪えたことを前向きにまた次の試合に臨みたい。

しかし、清水は戦力もすごいが内容もしっかりしてて強かった。この清水が5試合終えて、5引き分けと勝てないってのはJ2はやっぱ魔境ですね。

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