スコア
2-3
得点者 後藤啓介(2)
順位:暫定10位
勝ち点:0(0勝0分け1敗)
得失点差:-1(総得点:2、総失点:3)
出場メンバー(採点)
GK:梶川裕嗣(5)
DF:鈴木雄斗(5.5)、伊藤槙人(5)、
リカルド・グラッサ(5.5)、松本昌也(4.5)
ボランチ:山本康裕(5)、針谷岳晃(5)
OH:ジャーメイン良(5.5)、山田大記(5.5)、
大津祐樹(4.5)
CF:杉本健勇(5)
交代出場:
遠藤保仁(6)、ドゥドゥ(5.5)、
後藤啓介(7)、松原后(6.5)、金子翔太(5.5)、
フォーメーション
磐田は昨年までの3-4-2-1から4-2-3-1に変更。新しいフォーメーションで開幕戦を迎える。昨シーズンの主力がスタメンに連なる中で、レンタルバックの針谷がスタメンを奪取。また、唯一の新戦力と言える後藤啓介がベンチインした。
前半は岡山のゲーム
立ち上がりは磐田の各選手の距離感がよく、ボランチやSBを中心にボールを回す。
今シーズンは1トップの杉本の後ろ2列目には3人の選手が並ぶ。両サイドの選手がいいポジション取りをして、相手DFを広げられると杉本のプレイエリアが確保でき、杉本の能力が発揮できるはず。杉本には昨季の1トップ2シャドーよりもこちらの方が合っているかもしれない。
しかし、磐田の選手の距離感はいいが相手の陣形を崩すようなボール回しができず、ボランチより前の選手になかなかボールが収まらない。
結果、徐々に岡山に守備の的を絞られ始め、ボールロストが増えていく。
10分過ぎ頃からは岡山がペースを握る。サイドを起点にボールを回す岡山に磐田のマークが後手後手に回り、ペナルティエリア付近までの侵入を許すシーンが増える。
それに伴い岡山のCKが増えていく。櫻川の空中戦の強さも垣間見せ、徐々に磐田のゴールに圧力をかけていく。
25分にCKをファーに蹴り、柳が中央に折り返したところを櫻川に押し込まれてしまう。
さらに失点後も流れは変わらず。31分に岡山に追加点を奪われる。ゴール前に長いパスを入れられ、落としをフリーで櫻川にシュートを撃たれる。シュートは右ポストを叩くが岡山の二次攻撃を受け、左サイド深い位置で、坂本をフリーにしてしまい豪快に右サイドネットを揺らされる。
最初の櫻川のシュートシーンは最終ラインの間を使われて決定機を与えていて、この守備の連携は改善したい。
また、坂本のゴールシーンも磐田の守備の人数はいるのだが、寄せが甘く、相手がプレーする時間とスペースを与えてしまっている点は課題。
松本のサイドバック守備
失点シーンの寄せも気になるが、チーム戦術の意味ではその前の櫻川のシュートシーンの方を改善したい。
この時、下のような人の配置になっていたと思うが、全体的に磐田の右サイドに人が寄っていた。櫻川が少し、落ちていったのをグラッサが付いていったため、グラッサと松本の間のスペースが空いてしまった。
ここでバイスがグラッサと松本の間に走り込む田中にロングパスを出して、慌てて田中に松本とグラッサが寄せた結果、櫻川がフリーになる。田中は櫻川にダイレクトで落として、櫻川は余裕を持ってシュートができた。
この時、松本はサイドに張り出していた河野を気にしたポジションを取っているように思えたが、失点の可能性という意味では、グラッサの脇のスペースの方が危険なエリアなので、そこのケアを考えるべきだった。
松本は大津に河野のマークを指示して、自分は田中の前のスペースを消すポジションを取るべきだった。ここはチーム内で振り返って、失点の可能性の高い方を消すことを確認し合えば防げるだろう。
前半は0-2で折り返す。前半はあまりいいところなく終わってしまった印象。
数少ない光明は針谷の意表をつく縦パスに可能性を感じさせる。しかし、前の選手がプレイできるスペースが作れておらず、せっかく縦パスが入ってもいい展開に繋がらず、逆にボールロストに繋がってしまうのが残念。
後半から流れを変える
後半は大津と針谷を下げて、ドゥドゥと遠藤保仁が入る。交代選手と同じ位置に入る。
後半立ち上がりは磐田の攻勢からスタート。遠藤が少し低めの位置でボールを受けて、岡山のFWを釣り出しつつ、磐田のサイドバックを上げてからパスを出す。
磐田のサイドバックがボールを保持して上がっていけば、岡山のサイドハーフもチェックに出てくる。これで岡山のFWとサイドハーフが釣り出されて、磐田の中盤の選手のプレイエリアが作れるようになる。
連続でペナルティエリア内でフィニッシュシーンを迎えるがゴールならず。
いい立ち上がりで入った後半だったが、岡山のファーストチャンスを決められてしまう。
岡山はGKの足元から繋ぎ、磐田の前線からのプレスを左右に大きく広げるようなボール回しで組み立てを図る。
磐田も前線からプレスをかけるが、際どいところを突破されてカウンター気味の状況となる。
岡山は佐野が左サイドをドリブルで持ち運ぶと坂本、ムーク、櫻川がサポート。磐田は遠藤、山本、グラッサ、松本、ドゥドゥが下がりながらの守備。
ここで、ムークが佐野の外側へ走ったことで、佐野にマークについていた遠藤とその後ろでカバーを準備していたグラッサが外に注意が向いてしまう。しかし、佐野はムークを囮に中央の坂本にパス。
グラッサが外側をケアしたため一瞬、反応が遅れて坂本がフリーに。松本は櫻川のマークを捨てて、坂本に寄せるが、坂本のシュートコースと櫻川へのパスコースを同時に切るのは難しく、櫻川に繋がれてしまう。
この時点で櫻川はGKと1対1。このシュートはむしろよくグラッサがブロックしたが、最終的には佐野に詰められてしまう。
この後も磐田がボールを保持する時間が長いが得点は奪えないまま時間が経過。
反撃は松原と後藤から
61分に岡山はムークから田部井涼に交代。磐田も63分に松本と杉本を下げて、松原后と後藤啓介が入る。
やはり後藤の191cmの身長は頭一つ抜けている。バイスとの競り合いでも負けないこの高さはチームとしても活かしたい。
79分に岡山は田中と坂本が下がり、木村太哉とハン・イグォンがIN。
磐田は85分にジャーメインを下げて、金子翔太を投入。
88分に左サイドを深く突破した松原の低いクロスをワンタッチで後藤が合わせて1点を返す。
敗色濃厚のゲームでも1点でも返すことが次のゲームに少しでもプラスのメンタルもたらす意味で重要。後藤としてもプロ初ゴールで自信をつける意味でも価値あるゴール。
91分、さらに後藤が追加点。遠藤のショートコーナーからのクロスに頭で合わせてあっという間に1点差に詰め寄る。
遠藤のクロスも素晴らしいがきちんと枠に沈めた後藤も素晴らしい。プロデビュー戦で緊張もあっただろうが、その中できっちり結果を出せるのも実力の高さの証明。
またここに至るまで、再三左サイドを攻略した松原の突破力は昨シーズンから発揮されたストロングポイント。独力でもグイグイ前に運べる力はやはり魅力。彼のプレイが後藤の2得点を引き出した。
92分、磐田のCKの流れからなんとか木村がボールキープして山本のファウルをもらって一旦の流れを断ち切ったプレイは素晴らしい。苦しい場面で1人でこういったプレイが出るとチームが非常に助かる。
95分も後藤がバイスとの競り合いを制して胸トラップしてから最後は金子のシュートに繋がる。ここは岡山GK山田にキャッチされる。
この後も必死に喰らいつく磐田だが、同点に追いつけずに試合終了。
開幕戦の収穫と課題
開幕戦は残念ながら敗戦。しかし、戦国J2において、そう簡単に勝たせてはもらえないことはわかっていたので、気落ちすることなく次のゲームに臨みたい。
この試合、いくたか新たな発見や昨シーズンからの長所が健在なのが確認できたのはよかった。
- 後藤の高さと得点力
- 針谷の縦パス、展開力
- 松原后の突破力
- 遠藤のゲームメイク力
- 3失点から2点返した反発力
もちろんどちらかと言えば課題の方が多かったが、長いシーズンを考えれば、早めに課題点が見えて修正に着手できるとポジティブに捉えたい。
- 4バックの守備における約束事の確認。
- チームとしての攻撃の形の確立
- 試合中の修正策
4バックにフォーメーション変更した今シーズン、まだ守備の約束事の面で不足があるように見える。2失点目に見られたように、失点の可能性が高いものから順に消すような判断をチームで確認したいし、3失点目のようなカウンターのシーンではボールホルダーを外に追いやるような守備をするなど、決め事を作って、失点の可能性を少しでも下げていきたい。
今日の試合も2点取れる力があるのだから、2失点までに抑えていれば勝ち点の可能性はあったと言えるし、相手としても1失点した時にリードがあと2点あるか、1点しかないかで冷静さも変わるだろう。
また、前半特にどのような攻撃の形を狙っていたのか見えにくく、かつ、前半の劣勢の時間帯に修正が図れなかったのも気になる。
ハーフタイムの監督からの指示や交代でしか修正できないと、今日の試合のように前半で試合をある程度決められてしまうこともある。
劣勢時に監督の指示を受けてチームに伝播するやり方や、試合の中で選手間で声をかけて修正を図ることもトライしていきたい。
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