【マッチレビュー】カタールW杯 グループE 第1節 ドイツvs日本

サッカー

フォーメーション

ほぼ3バックのドイツ

ドイツはズーレ、リュディガー、シュロッターベックが3バックのようになり、左SBのラウムがかなり高い位置まで上がる。ムシアラがインサイドに入って、ハバーツやミュラーと近い位置でプレイする。

ボランチはキミッヒが下り目に位置してギュンドアンも高めの位置にポジション取りする。そのため日本のダブルボランチ:遠藤と田中はミュラー、ムシアラ、ギュンドアンの流動的な動きを注視しなければならない。

中に入ってくるムシアラのチェックのため酒井は中央に引っ張られる。すると左サイドのラウムがフリーになるが、伊東純也は奪った後のカウンターを狙うポジションを取るため、ラウムにはつききれない。

一方の日本の今日の狙いは前線から守備をはめ込んでいって、高い位置でのボール奪取からのショートカウンターだろう。そのためにスピードとチェイシング力のある前田を1トップに入れてるのだろう。

守備時は前田と鎌田が最前線に並んで、キミッヒとギュンドアンの2人へのパスコースを切りながらDFラインに圧力をかける。

2列目は久保と伊東はズーレとシュロッターベックから斜めに入れる縦パスのコースを切りつつ、田中と遠藤と共に守備ブロックを作る。

このやり方がキレイな形ではないがハマって7分に幻のゴールが生まれる。押し込まれた位置からセカンドボールをギュンドアンが収めたところを前田と鎌田が前後から挟んで鎌田がボールを奪う。

奪ったボールをすぐに縦に走った伊東に繋ぎ、伊東はアーリー気味に早いクロスをゴール前に走り込んだ前田に合わせる。

ネットを揺らすが、前田の飛び出しがオフサイドになり、ノーゴールの判定。

前向きの守備でボールを奪えれば、そのままのスピードで前田、伊東が速攻をしかけられる。2次攻撃に鎌田や久保が絡むことで、相手の守備が整う前にフィニッシュに持ち込むのが日本の狙い。

日本の狙いかわすドイツの地力

ただ、ドイツもさすがの試合巧者。日本の守備陣形を中盤の選手の揺さぶりで攻略を試みる。

この試合ほぼ3バックの右になっていたズーレがじりじりとボールを持ち上がって、久保を釣り出して、空いたスペースにミュラーが下がってきて受ける。すると、田中碧がミュラーにチェックに行くと中央が開いて、ハバーツへの斜めの縦パスコースができてしまう。ハバーツはパスを受けるとサポートにきている、ギュンドアンやムシアラを落として攻撃を展開していく。

ではズーレに対して前田がチェックに行くとボールはリュディガーを経由して下がってきたギュンドアンやキミッヒが鎌田の脇のスペースでパスを受ける。そこからターンして、ムシアラやミュラーを使う。

ラウムの攻撃的な位置取り、ミュラーとムシアラの流動的な動きで日本の守備が時間を追うごとにハマらなくなっていく。

30分まで何度も左サイドのラウムをフリーにしてしまい、そこからの攻撃でピンチを招く。ついに31分にはペナルティエリア内でフリーのラウムに繋がれてしまう。 

この時はフリーでボールを受けたキミッヒのパスに対して伊東と酒井が2人ともムシアラに寄せてしまったため、大外でフリーでペナルティエリア内に走るラウムに繋がれてしまう。

たまらず飛び出た権田がファウルを侵してPKとなる。

ここに至るまで何度もラウムがフリーになって左サイドで起点になることでピンチになっていた。試合の中で早めに修正したかった。

伊東にきっちりラウムをマークするよう指示する、もしくは伊東を攻撃のために上げておくなら、鎌田を右サイドに出してラウムのマークにつけるなどが策になるか。

前半45分はほぼ、ドイツに支配されたままで終了してしまう。

後半は日本は3バックに変更

後半、日本は頭から久保建英を下げて冨安健洋を入れる。冨安を含む3バックに変更し、ムシアラのマークは板倉に、ラウムのマークは酒井にと役割を整理した。

前線は前田をトップに鎌田と伊東でトライアングルを作る。伊東もシュロッターベックへの前からのチェックと役割が明確になったので、やりやすくなった。

ドイツのDFラインも日本の前からのプレスが早くなり、そこまで余裕を持ってボールを持てなくなる。

56分にさらに前田と長友を下げて、浅野拓磨と三苫薫が入る。浅野が前田の位置に入り、左のWBに三苫が入り、1点を追うための攻勢を強める布陣を取る。

ドイツの3バックに対して日本の前線のトライアングルが高い位置からチェックに行く分、中央付近にスペースが出来やすくなる。

更にそのスペースにキミッヒがボールを受けに下がってくるが、そこには田中碧がチェックくるので、中央にスペースが更に開く。

そのため、その中央のスペースでいい形でドイツの選手に入ると高確率でフィニッシュまで持っていかれる。

66分にミュラーとギュンドアンを下げて、ホフマンとゴレツカが入る。

交代で入ってきた選手を含め、ドイツの選手たちの基礎技術の高さと相手を揺さぶるボール回しのアイディアのレベルは日本よりワンランク上だった。

中央にスペースが開いたこともあるが、24分には守備揺さぶられて、連続で4本のシュートをうける。ここは権田のファインセーブに救われる。

総攻撃体制を取る日本

70分に日本は田中碧を下げて、堂安律を入れる。

74分、更に酒井宏樹を下げて、南野拓実が入る。伊東が右サイド、南野が前線トライアングルに入る。

両サイドも攻撃的な選手に変えた勝負をかける森保監督。

75分に左サイドの三苫が仕掛けて、中に切れ込みながら、ゴールエリア脇に飛び出した南野に繋ぐ。南野はダイレクトで中に折り返すとノイアーが弾くが、詰めていた堂安が同点ゴール。

総攻撃体制の布陣に変更した采配が功を奏した。

ドイツは78分にハバーツとムシアラを下げて、ゲッツェとフェルクルクがIN。ドイツも勝ち点3を取るため、攻撃のテコ入れ。

しかし、83分に日本が勝ち越しゴール。吉田麻也が深い位置からのフリーキックを前線にDFラインの裏に蹴ると、浅野が走り込む。ボールを収めて前進すると角度がほとんどない状況でニア上ぶち抜きのゴールを決める。

ドイツは89分にニャブリを下げて、ムココが入る。

ロスタイムは7分。
ドイツはラフにボールを放り込むようなプレイはせず、日本の守備陣を揺さぶりをかけようとしていたのが、日本にはいい方に傾いた。

日本の守備ブロックの外側でボールを回し、なんとか守備を広げてゴール前に送り込もうとする。しかし、この辺りには三苫や南野、堂安など途中から入ったフレッシュな選手がいるため、早いプレスでいいボールをゴール前に送り込むことはなかなかできず。

守備陣は前半からかなり走らされていたので、ラフに蹴り込まれてスクランブル気味のトライを繰り返された方が厳しかったかもしれない。最終盤には冨安も板倉も足を攣っていた。

なんとかこのまま守り切って2-1で勝利。
強豪のドイツ相手に奇跡の逆転勝利。

奇跡の勝利と世界のレベル

試合開始前に狙っていた形はうまく機能しなかったが、後半状況を打開するためチームのストロングポイントを活かす布陣に掛けて、勝負に勝った。森保監督が様々なシチュエーションに対応できるようチームを作ってきた結果だろう。

この勝利はもちろん素晴らしいが、前半の内容を見るとやはりまだ世界の強豪とは実力差があると感じた。

その実力差を埋めて勝ち星を上げられるくらいまで日本のレベルが上がってきたとも言えるが、この先のコスタリカ、スペインとの試合も厳しい試合が続いていくことが予想されるので、今日のように最後まで可能性を信じて、戦ってほしい。

悲願のベスト8進出に期待を持てた一戦だった。

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