今季も残り4試合。残留圏まで勝ち点4差で自動降格の18位にいる磐田としては最低でも1勝1分が必要。得失点差を考えると2勝はマスト。
スタメン
スタメンの変更点は4箇所、2列目の左が高畑から渡邉りょうへ、右サイドに松本昌也、ボランチは上原力也とレオゴメス。
松本、ゴメス、上原に関しては慣れ親しんだポジションなので心配ないが、ここ数試合高畑が勤めていた左のシャドーの変更がどういう効果が出るか。守備面では高畑の運動量が効いていたが、反面攻撃面では上がりが間に合わず、ジャメとクルークスで孤軍奮闘を求められていた部分への改善策になるか。
開始6分で被弾
試合開始直後、6分に痛い先制点を奪われる。CKの場面、大外のダワンがダイレクトで右足を合わされて被弾。
しかし、ここはVARが入り、オフサイドの判定となり取り消されて命拾いする。
再開した試合は磐田の攻撃で始まる。前節、神戸戦ではかなり守備に比重を置いた戦い方で攻撃の糸口がなかなか掴めなかった反省からか、この試合は攻撃時に味方のボールホルダーへのサポートが早く、第一波となる攻撃は厚みのある攻めができた。
ゴールは奪えなかったが、この攻撃によりまたもVARが入り、あわやPKになりかける。結果、PKはなかったが、やはり攻め込めば何かが起きる。残留には勝ち点3が必要なので、なおさら攻撃の意識を持ち続けるのは重要。
渡邊りょうのスーパーゴール
この意識が23分に花開く。クルークスの右からのクロスを渡邉りょうがダイレクトボレーで決め切る。きっちり決めたがゴールまでの距離を考えるとこれを直接決めるのは技術難度のとても高い得点だった。
ここ数試合、守備意識を高くして戦ってきたことで、守備は安定感が出てきたが、反面攻撃ではクルークスの個人技頼みになって、敵に囲まれてまともにクロスを上げられなかったクルークスだったが、やはり彼にいい形でボールを預ければチャンスが作れる。
しかし、あっさりG大阪に同点弾を許す。CKでニアの半田陸に頭で合わせられて被弾。今日はCKの守り方を考えないとVARの取り消しを含めたらすでに2発やられている。
G大阪のボール保持は質が高いが、磐田の選手たちのチェックも早く、自由にやらせない。贅沢を言えばもう少しマークで捕まえられると守備での体力の消耗を防げるのだが。
攻撃面では磐田は長めのボールを前線に送って競り合いや抜け出しからチャンスを狙う、人数をかけずリスク避けるボール比保持のサッカーを展開する。
G大阪は徐々にボール保持のリズムが出てきて、磐田も守備で構えるが際どいエリアまで侵入されるようになってくる。1トップの宇佐美が広範囲に動いてスペースでボールを受けて、起点を作る。宇佐美以外の選手もそれに続いて絶えずポジションを動かして、スペースに顔を出す。
さすが上位に位置するチームの攻撃。磐田の守備陣は頭も身体も汗をかかされる。
あっという間に逆転される
53分にG大阪に逆転弾を受ける。G大阪の右サイドで宇佐美が起点を作って上がってきた黒川がクロス。大外の山下が走り込んできて頭で合わせてゴール。
人数が足りなかったわけではないので残念な失点。中央は3バックが固めているがサイドを使った攻撃で完結させられてしまった。
1-2とビハインドで前半終了。
後半は松本昌也を下げて、植村洋人が入る。
後半も磐田はラインをやや高めに設定して、奪った後はクルークスや松原后のサイドアタックで打開を図る。
ただ、クルークスや松原にいい形で入らないと磐田の選手はボールを持ってもどこか自信なさげな奪われないためのバックパスなどが多くなり、追い詰められてボールを奪われる。
残留争いをするチームはどうしても負けがこんでいるのでなかなか勇気を持ったプレイが出にくく、打開しようと難しいプレイチョイスをすると大きなミスに繋がるという悪循環にもなるので、選手たちも本当にもどかしい中でやっているだろう。
残留が遠のく3失点目
そんな苦しい中で58分にPKを奪われる。ミドルシュートをブロックしたグラッサが反転してクリアする際にボールに手を触れてしまう。
宇佐美がこれをきっちり決めて1-3。
PKが蹴られる前に渡邉から山田大記に選手交代。厳しい試合展開となったが、あきらめずに1点でも取って得失点差を縮める。あわよくば勝ち点1でも取る気持ちは持ち続けたい。
しかし、追加点はG大阪。キーパーからのパスが繋がり、磐田のチェックが後手後手になって山下まで繋がりドリブル開始。カットインしながら、中央に入りゴールを決めて見せる。
が、ここもVARが入り山下に繋がるところでオフサイドがありゴールは取り消し。今日はVARで二つ救われているのでなんとかこれを活かしたい。
70分に伊藤槙人と松原后を下げて、マテウス・ペイショットと高畑圭太が入る。4-4-2に変えてグラッサとハッサンヒルのCBに右SBに植村、左SB高畑。右サイドにクルークス、左サイドに山田、ゴメスと上原の2ボランチでペイショットとジャメの2トップに変更。
76分にG大阪はファン・アラーノ、福田湧矢を投入。山下と倉田が下がる。
80分にヒルが足を捻って、鈴木海音と交代。
4-4-2にすることで前の人数が増えて攻撃時のチャンスの可能性は増えたがなかなか活かせない。これまでしばらくやっていなかった形なので、コンビネーションがどうしてもうまく決まらない。
底力を見せる磐田
しかし、セカンドボールが拾えるようになり、うまく繋がらなくても粘り強く前線に送って人数をかけたのが功を奏した。
86分にセカンドを拾った上原がペイショットに縦パス。ペイショットがなんとか潰れながらキープすると上がってきた上原が混戦の中からシュートを沈める。
1点差となり攻勢が続く磐田。何度も前線にボールを送り、ジャメやペイショットが粘り、拾った上原やゴメスが拾って2次攻撃、3次攻撃を繰り出す。
91分、押し込み続けた磐田に同点ゴール。右サイドからクルークスがクロスを上げるとファーサイドからグラッサが折り返したところを鈴木海音が押し込んだ。
勝ち越せるかと思ったのも束の間、93分に4点目を献上する磐田。攻撃に人数を増やした分、後ろのスペースができたところをパスワークで崩されて坂本に決められる。
これが残留圏にいるチームの脆さか。いい流れを活かしきれない。
幸いにもこの試合はVARや負傷などがありロスタイムが長くまだ7分近くある。もう一度同点にできるか。
最後はCKに川島も上がっていって総攻撃をかけたが一歩及ばず。
このまま3-4で試合終了。
残留に向けて希望と不安が入り混じる
残留に向けては厳しい厳しい敗戦。しかし、横内監督としては本当に難しいチーム状況であることがまた見えた。
渡邊りょうの素晴らしい先制点でリードしたにも関わらず、ここ数試合ある程度機能していた守備が踏ん張れずに3失点。
そこからスクランブルで組んだ4-4-2で2点返した。G大阪としても2点のリードをうまく使ってクローズさせるつもりだったはずだが、それを打ち破る力を見せた。
そう、力がないチームではない。しかし、それが結果に繋がりにくく。せっかく同点に追いついても勝ち越し点を許してしまう。
残り3試合、希望と不安の両方を見せた試合だった。
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