【マッチレビュー】J1第31節 清水エスパルスvsジュビロ磐田
スコア
1-1
得点者 ジャーメイン良
順位:18位
勝ち点:29(6勝11分け15敗)
得失点差:-23(総得点:30、総失点:53)
出場メンバー(採点)
GK:三浦龍騎(6.5)
DF:森岡陸(6.5)、伊藤槙人(6.0)、
山本義道(5.5)
ボランチ:山本康裕(5.5)、上原力也(5.5)
WB:鈴木雄斗(6.0)、松本昌也(5.5)
OH:金子翔太(5.0)、山田大記(5.5)
CF:杉本健勇(5.5)
交代出場:
ジャーメイン良(6.5)、大津祐樹(5.0)、
遠藤保仁(5.5)、松原后(6.0)、古川陽介(6.5)、
フォーメーション

磐田は前節と同じスタメン。前節早めの時間にアクシデントで交代した山田大記もスタメンに入り、大事でなくてよかった。
清水は中盤フラットの4-4-2を採用しているので、サイド広く使った攻撃を狙ってくるだろう。
前節のマリノス戦では相手がボール保持する時間が多く、引いて守る時間が多かったので、スペースを与えずに耐え切ったが、今日はもう少し自分たちがボールを保持する時間も増えるはず、攻守の入れ替わりでいかに相手にスペースを自由に使われないようにするかは重要になる。
磐田はコンパクトな陣形で試合に入る
立ち上がりは磐田がボール保持して攻め込む回数が多い展開となった。ここ数試合できていた、長短のパスの使い分けで清水の守備の的を絞らせない。
磐田がボールを奪うと清水も素早くボールホルダーへプレスをかけるが磐田は周囲の早いサポートでパスを繋いでプレスを回避できていた。
守備時は早めにリトリートして、いつもの5-4-1の布陣で清水にスペースを与えずに守る。
しかし、19分にピンチの場面。
一度清水の左サイド深い位置にいたカルリーニョスまでボールを運ばれ、その後、ボランチを経由して逆サイドに振られてから中央のサンタナにグラウンダーのパス。ここから混戦となり、スクランブル気味にシュートを打たれる。三浦の飛び出しで防いだが、二次攻撃で清水の右サイドからのクロスからサンタナのヘッドを打たれる。ここは鈴木雄斗がサンタナに身体を寄せてなんとかシュートは枠外に逸れる。
サンタナはゴール前での細かなポジション修正やシュートテクニックなどストライカー能力のある怖い存在。彼にボールが入る回数は減らして行きたい。
ターニングポイント
結果的にはここが今日の試合の一つのターニングポイントになった。ここまで磐田のペースであったが、カルリーニョスに渡るまでのボールに磐田がチェックにいかずにずるずると前に運ばれてしまい、ここから清水がペースを握り返していく。
カルリーニョスにパスを出したのは引き気味に位置していた北川だが、近くにいた山本康裕、もしくは本来の守備位置としているべき山田大記のどちらかがスプリントして北川にプレッシャーをかけていれば、また違ったかもしれない。
このワンプレイから清水が攻め込む回数が増えてくる。27分にもDFの間を抜けてくるパスから際どいシュートを受けるがここも三浦の飛び出しでなんとかクリア。
また、28分には清水の右サイドから崩しきる前にアーリークロスを放り込まれ、飛び込んできたカルリーニョス・ジュニオがダイビングヘッドを試みる。ここは森岡陸が反応してクリア。
清水は4-4-2の布陣でやりたいサッカーはこういった形だろう。サイドを有効に使い、相手守備を広げて、前線の攻撃陣にスペースを与えつつボールを供給する。これで前線の選手のクオリティを発揮させてゴールを奪う。
先制は清水
34分にCKから先制点を奪われる。CKをニアでフリックされて、ファーに流れたボールがもう一度ニアに折り返されるとサンタナにフリーでボールが渡ってしまい、確実にゴールに沈められる。
ここまでの時間帯、清水に攻め込まれる時間帯が続いており、なんとかクリアしていたものの押し返しきれず、清水の攻撃のトライを複数回許してしまったのが、最終的には失点に繋がってしまった。
この後も磐田のボール保持時に、磐田の最終ラインの選手に清水のFW陣が前プレスを積極的にかけて後ろの選手が連動してボールを奪いにくるプレイが出てくる。
前半の立ち上がりに清水がこういった前進守備ができない時間帯があったのとは対照的。この辺りは磐田は我慢の時間となる。
前半はこのまま終了。
後半も清水が主導権を握る
後半は両チーム選手交代なしで再開。
後半は磐田がボールを最終ラインから攻撃を糸口を探る場面の多い立ち上がりとなる。
磐田は2シャドーを基点にWBが清水のSBの裏に走り込む狙いが増えてくる。
裏を取ることができれば、清水も戻りながらの守備となるのでバランスを崩せる可能性が出てくるが、一方で奪われ方が悪いと清水のアタッカー陣にスペースを使ったカウンターを受けてしまうので注意したい。
58分に磐田の選手交代。山田と金子を下げて大津祐樹とジャーメイン良を投入。
ここ数試合の好調の要因だった山田と金子だが、今日は思ったような崩しのプレイが出せず、状況の打開を図る選手交代。
しかし、清水の守備陣形にパスが引っかかる場面が多く、思うように攻撃の形は作れない。
66分にさらに上原と松本を下げて、遠藤保仁と松原后を投入する。
72分に清水は負傷があった中山を下げて、ヤゴ・ピカチュウがIN。
複数人の交代で打開を図る磐田だが、状況には変化なく清水にゲームをコントロールされる。
キーマン古川が試合を動かす
78分に磐田は最後の交代枠で山本義道を下げて古川陽介を投入。
左サイドに入った古川のクロスを権田がこぼしたところをジャーメインがシュート。ここは清水の守備陣のブロックに合うが、古川が入ったことでボールの落ち着きどころができて、左サイドを中心に攻撃の糸口が出来始める。
81分、清水は北川航也を下げてベンジャミン・コロリが入る。
引き続き、磐田は松原、古川、遠藤が絡んだ左サイドからのパスワークで攻略を狙う。このサイドでは清水は捕まえにいくような守備ができず徐々に磐田の侵入を許すようになる。
90分に清水は直前に足を攣っていた片山が下がり、原輝綺が入る。
91分、ここも左サイドから磐田の攻撃で混戦状態となり、古川が拾ってマイナスのパス。ジャーメインがワントラップしてニアにボレーシュートを叩き込むと権田の牙城をついに崩して同点ゴール。
92分、再開後の清水の攻撃がサンタナまで渡り、サンタナのシュートが磐田ゴールのバーを叩く。
サンタナに最後にプレッシャーをかけたのは慌てて戻った松原后。磐田は総攻撃体制となり、CBの枚数を減らしているのでバランスは崩れているのでもう戦術うんぬんではなく、一人一人の運動量や判断で守るしかない。
94分にもビッグチャンス。高い位置でジャーメインが受けて、裏抜けする鈴木雄斗にパス。鈴木からのマイナスのパスが古川に渡って、権田の目の前でシュートチャンス。古川のシュートはバーを超えて外れてしまう。
95分に遠藤のフリーキックが清水の壁に引っかかり、カウンター発動。最後はサンタナの突破を古川が磐田ペナルティエリア内でなんとか防いだところで試合終了。
清水も磐田も最後にビッグチャンスが両方に生まれたが決め切ることはできずにドロー決着。
混沌とする残留争い
これでJ1リーグの全チームが残り2試合となり、降格の可能性があるのは12位の札幌から下の7チーム。
12位 札幌 勝ち点 39 得失点差 -12
13位 湘南 勝ち点 35 得失点差 -12
14位 京都 勝ち点 34 得失点差 -8
15位 福岡 勝ち点 34 得失点差 -10
16位 清水 勝ち点 33 得失点差 -8
17位 G大阪 勝ち点 33 得失点差 -13
18位 磐田 勝ち点 29 得失点差 -23
札幌は17位以上は確定していて、2連敗かつ他チームが全て2連勝しないと降格圏には沈まないので、可能性はかなり低く、実質は他の6チームの争いか。
磐田は一度でも負ければ即降格決定だが、残りは残留争い直接対決2試合であることがプラス材料。2連勝すれば逆に残留の可能性はかなり出てくる。
他のライバルチームは直接対決が少なく、上位勢との対戦が多く、勝ち点を積み上げるのは容易ではない。
<残りの対戦予定>
33節 34節
札幌 広島 清水
湘南 鳥栖 柏
京都 C大阪 磐田
福岡 柏 浦和
清水 鹿島 札幌
G大阪 磐田 鹿島
磐田 G大阪 京都
ただ、今日の試合を見てやはり戦力としては最下位なんだと改めて感じる。個の力で打開できるタイプの選手がいないので、コンパクトにして複数人でサポートし合うことでようやく可能性が出てくる。
今日試合は前半途中からコンパクトな陣形が保てず、サンタナやカルリーニョスなど個の力のある選手と個人での勝負せざるを得ないシーンが増えていき、苦しい展開が続いていた。
そんな中でも引き分けに持ち込めたのは大きいとも言える。残り試合に可能性を繋げられたことをポジティブに捉えて勝負の2試合に向かいたい。