【マッチレビュー】J1第13節 ジュビロ磐田vsFC東京

サッカー

スコア

2-1  勝ち
得点者  上原力也、鹿沼直生

順位:14位
勝ち点:14(3勝5分け5敗)
得失点差:-4(総得点:17、総失点:21)

出場メンバー(採点)

GK:三浦龍騎(6.5)
DF:山本義道(6)、伊藤槙人(6)
       リカルド・グラッサ(6.5)
WB:鈴木雄斗(6)、松本昌也(6)
ボランチ:鹿沼直生(7.5)、遠藤保仁(6)
2シャドー:上原力也(7.5)、杉本健勇(6)
CF:ファビアン・ゴンザレス(6)

交代出場:
大津祐樹(6)、大森晃太郎(6)、山本康裕(5.5)
ジャーメイン良(6)、吉長真優(6)

フォーメーション

前節はターンオーバー気味の采配だったので、今節も入れ替えが多い。前節から6人入れ替え。

ワントップは大津からファビゴンに、2シャドーは金子と大森から杉本と上原に変更。杉本は初のシャドーポジションを務める。ボランチに山本康裕に代わって鹿沼直生が今季リーグ戦初先発。大井に代わりグラッサが入り、DFラインの左にグラッサ、山本義道が右に入る。

そして久しぶりにGKに三浦龍騎が復帰。コシェレフもいいプレイをしていたので、今季はこの2人がポジション争いすることになるか。

前半は連動した守備で主導権を握る

ファビゴン、上原の前からの守備の圧力を東京の2センターバックにかけ、それに連動して後ろの選手の守備も機能したことで、前半の主導権を握る。杉本はこの2人のようにトップスピードで相手の選手にチェックに行くプレーはあまりしないが左サイド中央寄りのエリアでいいポジション取りをして守備のタスクをこなせていた。

永井謙佑が裏を狙う動きを見せるが、FC東京の最終ラインの選手にもそこまで余裕を与えないようにプレスをかけれているので、いいボールは蹴らせない。

杉本健勇は後ろからきたボールを少ないタッチで味方につなぐプレーがうまいので、繋ぎ役としてうまく機能していた。リーグ戦13節目にして1番杉本が攻守両面で機能した。

シャドーの2人がウィング的なタスクは不得意だが、その分サイドアタックは松本や鈴木が頑張ってスプリントすることで厚みを加えてシャドーと連携して攻め込んでいた。これをやりきった鈴木と松本の運動量には頭が下がる。

いい流れのまま先制点を奪う

42分にいい形で磐田が先制点を奪う。深い位置まで攻め込まれたボールを奪って、左サイドに敵が寄ってきてところで遠藤が右サイドに展開。ボールを受けた上原に加えて鈴木が右サイドを全速力で上がり、ファビゴンも最前線へスプリント。さらに左サイドは杉本が全速力で上がる。

上原は鈴木にパス。鈴木は右サイドに敵を引っ張る。ファビゴンと杉本が中央、左サイドにも相手のマークを引き付け、遅れて入ってきた上原に鈴木が低いクロス。上原にはマークはつききれず、ダイレクトでシュートを決める。

44分、ファビゴンが抜け出してセンターバックとの駆け引きになるが、ブロックした足を蹴られる形で倒れるもファウルにはならず。前節にも似たような場面があったが、ここもシュートに行って欲しかった。もし、ファウルを狙うならもっとプレースピードを上げて、相手に慌てて足を出させないと取ってもらえないだろう。

後半は主導権を奪われる

後半はFC東京が4-3-3に変更。高萩洋次郎に代えて松木玖生が入る。これで磐田の最終ラインにプレスがかかるようになり、思うように磐田が繋げなくなる。

東京は攻撃時にも、松木や安部が前の選手を追い越したり、ライン間のスペースを使ったりして、磐田は押し込まれる時間が増える。

ただし、押し込まれた状態からの時折鋭いカウンターを繰り出せており、完全に防戦一方という状況ではない。

ここからの伊藤監督采配が楽しみになってくる。

59分ファビゴンがビックチャンス。カウンターでファビゴンが抜け出すとマークしていた岡崎が倒れてスウォビクと1対1になる。ファビゴンはフェイントでスウォビクをかわすまではよかったが、シュートはサイドネットに。

決して100%決めれるという場面ではないが、このようなシーンで確実に決めれるようになりたい。

岡崎は筋肉系のトラブルかこのまま負傷交代。代わりに小川が入る。

両チーム交代で打開を図る

磐田は61分にファビゴンに代えて大津祐樹が入る。ファビゴンは攻守両面で前へ前へと圧力をかけ続けたことは前半の主導権を握れた要因になっていた。さすがにこのプレイで90分引っ張るのは厳しく、スタミナ切れによる交代か。

杉本はシャドーで機能していたのでそのままのポジションで、大津が1トップを務める。

69分にFC東京の選手交代。永井謙佑と長友佑都が下がり、紺野和也と渡邊凌磨が入る。

73分、遠藤保仁と杉本健勇を下げて、山本康裕と大森晃太郎が入る。上原が左シャドーに入って右シャドーに大森。山本はやや劣勢の時間が続くなかで運動量を確保するための交代だろう。

75分に青木に代わり、アダイウトンが入る。2013年まで磐田所属だったアダ。敵として会いたくなかった。アダは爆発的なスピードと強烈なフィジカルがあるので、彼にはスペースは与えたくない。

75分以降の布陣

アダイウトンの恩返し弾

そんなアダに同点ゴールを受ける。かなり押し込まれた時間が続き、ボールを奪ってもFC東京のプレスを受けて前線に繋げられないことで、二次攻撃による被弾。

東京の左サイドでアダが突破を図るが大森と山本義で挟んでボール奪取。大森が山本康に繋ぎ、上原、鹿沼と繋いでいくがいずれの選手にもFC東京のプレスがかかり、最終的にパスミスして中央でボールロスト。

FC東京の右サイド寄りの高い位置まで運ばれ、紺野にワンツーの形で中央寄りに侵入される。右サイドに磐田の選手が集中したところで、紺野は左サイドに残っていたアダに低いパスでサイドチェンジ。鈴木雄斗のアダへのマークが間に合わなかったため、アダは縦にも中にも行ける状況でボールを受ける。

一瞬の鈴木の迷いをついてアダはトラップして中に切り込み、インサイドでキレイにゴール右上隅にシュートを沈める。

あきらめない磐田の攻撃

81分に上原とグラッサを下げて、吉長真優とジャーメイン良が入る。

磐田は4-4-2に変更する。これで、人の配置が横にワイドになり、ボール保持時にサイドの選手にボールを預けることで、磐田は僅かに時間を作れるようになるのと同時に相手の陣形を横に広げることができるようになる。

81分以降の布陣

87分、磐田のフォーメーション変更が効いて、起死回生の勝ち越し点が生まれる。

低い位置からサイドと中央をパス交換しながら右サイド高い位置まで運ぶと右サイド大外から鈴木雄斗が早いクロス。

ボールは鈴木にチェックに行った松木に当たり、イレギュラーな形でゴール中央に落ちる。ペナルティエリア内には大津、吉長、大森、ジャーメイン、鹿沼と5人も入っていたことで、スクランブル状態に。

大森がなんとか混戦の中なんとか鹿沼に繋いで、鹿沼が力の抜けたコントロールショットでスウォビクの逆を突いて勝ち越し。

FC東京もゴール前5人いたが、磐田の選手が諦めずに5人ゴール前に入ったことが勝ち越し点を呼んだ。

残り時間+ロスタイム6分、5-4-1のブロックを敷いて守る磐田。

91分にFC東京のコーナーキック時に三浦が木本と接触して唇を切って流血。治療に時間を要したため、最終的には99分まで続いた試合を守りきってフィニッシュ。

復帰戦でまた負傷のなった三浦はよくがんばった。

課題の前半戦の戦い方で手応え

ここ数試合の課題だった前半の戦い方で成功した今日の試合。後半、相手に流れをつかまれて同点にされたことは課題だが、それでももう一度、攻撃にかかって勝ち越し点を奪えたのは非常によかった。

杉本健勇がシャドーとして機能したことや、鹿沼も久しぶりのリーグ戦で勝利に貢献したのも大きな収穫。

広島戦のファビゴン、名古屋戦の大津に続くヒーロー枠に鹿沼が入り、チームの雰囲気が上がる。広島戦とC大阪戦では吉長が得点の起点にもなっていたし、順位は決していい位置ではないものの、チームが前向きに毎試合取り組めているのが素晴らしい。

これで上位集団に近づくことができたので、次節も勝って残留圏かれ離れたい。

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