2024 J1 16節 ジュビロ磐田vs湘南ベルマーレ/2点ビハインドからの大逆転勝利

サッカー
【ジュビロ磐田×湘南ベルマーレ|ハイライト】2024明治安田J1リーグ第16節|2024シーズン|Jリーグ

スコア

3-2

得点者:山田大記、ペイショット、レオ・ゴメス

順位

13位  5勝8敗3分  勝ち点18

22得点24失点 得失点差-2

スタメン

スタメンは前節と同じセット。前節同点ゴールを決めた金子もベンチに控える。対する湘南にはかつての同僚、ルキアンと鈴木雄斗がいる。彼らの能力の高さはよく分かっているはずなので、そのストロングを出させないようにしたい。

今季最速失点

そのルキアンにいきなり先制点を奪われる。

湘南の右CB高橋がドリブルを開始すると平川がチェックに向かうがWBの鈴木雄へのパスを予測して縦のドリブルコースを開けてしまいそのまま縦突破される。上原が慌てて前に出てチェックに向かうが、これでグラッサと松原の間に飛び出す池田へのパスコースができてしまいそこを使われる。グラッサが池田に寄せ、鈴木海音が横にズレて福田に着くとその後ろのルキアンがフリーに。植村が遅れて寄せるが間に合わず、クロスがルキアンに送られてほぼフリーでヘッドを許す。

時間にして17秒。磐田としては今季間違いなく最速の失点。もしかするとリーグとしても?

前節で見えた磐田の課題として、ペイショット単独では前線での起点作りができない点はこの試合でも引き続き見えた。そのため、序盤は磐田がボールを持っても前に運べずに奪い返されてしまい、湘南に押し込まれる展開となる。

湘南は2人のインサイドハーフが状況に応じて、サイドに飛び出してサイドアタッカーになる。通常はボランチが彼らのマークに着くが、これによってマークを外しつつ、SB裏のスペースを使うことができる。と同時にWBの押し上げが遅れてもサイドアタックができてしまう。その分、WBは守備に比重を置いて3バックやアンカーの選手をサポートできる。運動量のある選手が多い湘南だからできるとはいえ、なかなかいいフォーメーションに思えるが、運動量が落ちてきたり、誰かが判断をミスするとスペースができてしまう。体力が落ちてきた後半が勝負になるか。

磐田は地上戦で反撃

20分過ぎ頃から徐々に磐田の選手が地上戦でパスを繋ぎ始める。サイドでSBとSHにボランチもしくはトップ下が絡んでパス交換。湘南の選手をサイドに引きつけると湘南の最終ライン横に空いたスペースへトップ下かボランチのパス交換に絡んでいない方が飛び出してパスを受けてフィニッシュワークに進む。

磐田としては21年頃からこういったサイドでのパス交換はよく見せていた。そこから選手はある程度入れ替わっているが山田、松本、上原など核になる選手がいるのでその再現ができている。一方、左サイドは新しい選手が多いので、右ほどこういったパスワークで崩せていない。

痛恨の2失点目

25分に湘南のFW福田が左サイドでドリブルを仕掛けて、同サイドを上がっていた畑にパス。畑はハーフスペースでサポートにきた平岡に横パスを出すが鈴木海音が寄せてパスを受けさせない。ボールは流れて鈴木海音のいたスペースへ。それを拾ったのは後ろから走り込んできた福田。

福田がペナルティエリア内でドリブルを仕掛けると応対したグラッサが足をかけてしまいPK。福田が蹴ったボールは一度は川島が防ぐが、蹴る前にゴールラインより前に出てしまい蹴り直しとなる。この蹴り直しを福田が決めて、2失点目。

福田のドリブルによって守備陣形が崩されてしまったが、個人的には植村のポジション取りが中途半端だった気がする。福田を潰すのを上原に任せて帰陣するか、自分が寄せて潰すか迷ったように見える。

上原も遅れて追いかけていたので判断は難しいが、やや植村はこういったスクランブル状態での判断に迷いがある。今日の1失点目もルキアンと競れる位置に見えたが、走る速度を上げずに見送っている。遅れて競り合いに行くとファウルになってPKを与えてしまう可能性もあるので判断が難しいのは間違いないが、ここで失点の可能性を下げるため、競り勝てなくても身体を当てるなど、少しでも相手の自由を奪うような判断が咄嗟にできるようになると植村はワンランク上の選手になると思う。

ただ植村はスクランブルな状況でなければ高いサッカーセンスでチームを支えている。元々、ボランチの選手なので最終ライン付近の際どいプレーはまだ学んでいる最中だろう。

また、川島は1度目のストップはさすがの反応だった。福田の助走途中での静止に川島も反応してしまい、堪えきれずにラインを出てしまったがこの後、福田のキックは助走途中に止まった分勢いがなかったとはいえコースは悪くなったのでスーパーな反応だった。キッカーの助走途中での静止があるとGKとしてはとても難しい。前に出てしまえば今日のように蹴り直しになるし、GKとしては圧倒的に不利。だからこそのペナルティキックってことですね。

磐田のボール保持が増え始めたところだったので痛い追加点。この後も引き続き地上戦で湘南の守備を攻略しようとする磐田。

湘南はルキアンのポストプレイとインサイドハーフとWBのサポートで攻める。ルキアンは磐田時代にも見せていた絶対的な身体の強さで鈴木海やグラッサの身体を抑えながらボールをキープする。

キャプテン山田の反撃の狼煙

このまま2点のビハインドで折り返すかと思った49分に山田の反撃の1点が生まれる。右サイドから前進してきた磐田は植村がボールを持つとゴメス、松本がサポートして湘南の選手たちをサイドに引きつける。植村は左CBの杉岡と中央の大岩の間にポジション取りした山田につける。山田はライン際で大岩の股抜きパスで平川につけてそのままワンツーで中に侵入すると左足を振り抜きニアを撃ち抜いた。

山田のドリブル&シュートスキルが発揮された素晴らしいゴール。切り返しながらの股抜きでCBをかわせるのが山田キャプ。チームを勇気づける1点を決めてくれた。

後半まるまる時間がある状態で1点差に詰め寄れたのは大きい。

後半も一進一退の展開が続く。両チーム相手ゴールに迫るシーンを作るも追加点は生まれない。後半も磐田はペイショットへのロングボールは狙わず、焦れずに地上戦でパスを繋いでいたのが功を奏す。

湘南はインサイドハーフが広がって2トップと共に磐田の4バックに前からチェックをかけるので、最終ラインから繋いでいくには勇気が要るが、落ち着いてボールを繋ぐ。

60分に山田、平川OUT。金子翔太と古川陽介IN。

64分に古川がゴール前でヘッドを放つがソン・ボムグンのセーブに合う。サイドチェンジからSB裏をついての右からの松本のクロスに複数人がゴール前に飛び込んでいたのでとてもいい崩しだった。

一進一退で進む試合

68分に湘南は池田に代えて、奥野耕平が入る。

70分には湘南ゴールに押し込んだ状況から福田のスピードあるドリブルでカウンターを受けたが、鈴木海音が素晴らしい守備。ドリブルで上がってくる福田に対してルキアンへのパスコースを切りながら、福田が縦へのドリブルで蹴り出したところで前に出て、福田の自由を奪うとルキアンへの横パスでカウンターのスピードをを殺すことに成功。後ろから福田を追いかけた古川、ゴメスのプレッシャーもチームを救った。

75分に湘南は2枚替え。福田と平岡が下がり、ディサロ燦シルヴァーノと阿部浩之がIN。湘南も結構戦力豊富。直後に磐田も松本を下げてブルーノ・ジョゼが入る。

この試合、福田のスピード、ドリブルにはかなり苦しめられていた。

磐田もゴール前に人数をかけて攻め込めていて、湘南が逃げ切るか磐田が追いつくかといった展開になる。81分にはペナルティエリア内でペイショットの落としを上原が受けて左足でシュート。昨シーズン終盤でこの辺りの位置から何度も決めた得意な形だったが惜しくもゴールの枠を越える。

次の得点を奪ったのは磐田

82分についに同点弾。ソンの蹴ったゴールキックをグラッサがヘッドで跳ね返すとラフなボールをまずはジョゼが後ろ向きの難しい体勢でなんとか前にボールを送る。ペイショットと金子が走り込むと杉岡のボール処理にミスが出て金子が拾い、ドリブル開始。中央に仕掛けるようなドリブルコースを取ると高橋がペイショットのマークを捨てて応対する。ペイショットが流れてフリーになるとそこに金子からのパス。ペイショットがこれをきっちり決める。

鳥栖や札幌と順位の近い相手に連敗していた嫌な予感がよぎっていた終盤によく決めてくれた。ジョゼ、金子、ペイショット3人共が素晴らしいプレイでつかんだゴール。

2点リードから追い付いた勢いもあるが、順位的に上の磐田としては引き分けでも悪い結果ではない。この心理的余裕もあってか、この後も磐田が押し込む展開が続く。

ゴメスの逆転ミドル

85分にレオ・ゴメスが勝ち越し弾。金子が中央でドリブルを開始してターンして敵の守備をかわすと右サイドに振る。植村が受けてクロスを送ると一度は跳ね返されるが、拾ったレオ・ゴメスがミドルシュート。抑えの効いたシュートにたまらずディサロが触り、コースが変わってソンも反応できずにゴールに吸い込まれる。

再三、右サイドを中心としたクロスなどで人数をかけた攻めがボディブローのように効いていき、湘南の選手を押し込んだ格好。湘南の選手たち全体がかなり下がっていたため、レオ・ゴメスに寄せきれなかった。チーム全体でもぎ取ったゴール。

今日の金子のドリブルがキレキレで湘南の選手に囲まれてもボールを失わずにキープ&展開してくれる。そして、ジョゼは押し込まれた状態から体勢が苦しくてもなんとか前に繋げてくれる。彼らの好プレーもあり、湘南の攻撃を単発化させてくれていた。

ロスタイムは7分。湘南も同点を目指して攻め込んでくるが、なんとか守り切って3-2でフィニッシュ。

久々の勝ち点3

ジャーメインが離脱して苦しい展開が続いていたが、ようやく勝利を掴めた。降格圏に沈む鳥栖と札幌に連敗して順位を落としていて、今日も湘南に敗れれば完全に降格圏での争いに巻き込まれることになっていたので、非常に大きな勝ち点3になった。

ペイショットによる起点作りができない課題に対して、サイドを使った地上戦でのパスワークで回答を出してみせた。こういったパスワークは元々やれていたのだが、ペイショットとジャーメインへのロングボールに少し頼りすぎて忘れていた感がある。

磐田としては後ろからの繋ぎに対して、J1の連動性の高い前進プレスに捕まることへの対策が前線へのロングボールだったが、ジャーメインの離脱で機能しなくなり、その対策がまた後ろからのパスワークとなった。

これはこれで戦い方の一つとして、引き出しの一つにしたい。今日の湘南は2トップとインサイドハーフ2枚が4トップの様に横並びで前からプレスをかける。これかわせるとその後ろでは少し守備の圧力が弱くなるので繋いでいけたが、厚みのある前進守備をしてくる相手に通用するかは未知数。次節の相手は9位の広島。

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